最近は、パソコンやワープロも機能が豊富になり、版下を自分で作ってそれを印刷会社やプリントショップに頼む人も多いと思います。その際の参考にしてください。

 単色で社内用や印刷枚数の少ない場合は、600ドットくらいの普通紙打ち出しでも結構キレイにできます。(写真や色つきのイラストは除く)

 1色刷りの場合、何色で刷るにせよ版下は墨(黒)でつくります。デザイナーはカットなどを描くとき、黒インクや墨汁をつかいます。黒っぽい黒(?)がいいわけです。

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 カットなどには、色を塗らないで、トーン(白と黒だけを使った模様のような物)をマッピングする。写真をコピーすると黒っぽくなるように、複写機(印刷も含む)は、中間色は苦手です。

 例えば、青で刷りたい場合、出来上がりのイメージを見るため、青でプリントアウトしても、印刷会社に渡す版下は黒(すみ)版を渡します。その方が綺麗に刷り上がります。コピーの場合も青の原稿をカラーコピーでとってもらうよりも、黒の原稿で青のトナーで単色コピーしてもらった方が安くて、綺麗に仕上がることが多いようです。(黒以外の単色コピーをやってないところも多いようですが)
 コピーや印刷などの複写作業には、光の性質と硫化カドミウムやセレンなどのように光が当たると電気を流す性質、臭化銀やハロゲン化銀のように光が当たると黒ずむ性質を利用します。
 色は光の反射によって、識別されます。RGBすべての色が反射されれば、白に見えます。すべての色を反射しないのが黒です。
 青い版下を複写するために光を当てて、コピーのドラムや印画紙、フィルムに転写した場合、R(赤)とG(緑)の光は吸収されますが、B(青)の光は反射してしまいます。つまり、青100%の部分も露光してしまうため、青いインクで刷れば、全体的に少しうすい色になってしまうわけです。
 わかりづらい説明になってしまいましたが、光を全然反射しなければ、インクは100%べったりとのり、光が当たると、その分だけ色がうすくなるということです。


 できるだけキレイに、自分で版下をつくりたい(安くあげたい)場合のアドバイスです。
 まず、普通紙出力ではできるものに限界があるので、データで印刷会社やプリントショップに渡します。
 そのときには、相手に使えるソフトとフォントを確認しておきます。
 印刷用の版下には、角トンボとセンタートンボが必要です(印刷機はセンター合わせらしい)。トンボをつけるには、DTP用のソフトが必要です。一太郎やワードなどはワープロソフトです。 

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 最初は、1Pごとに作ります(ページネーション、ページアップ)。ただし、頁物は、DTPソフト(クォークエクスプレスやページメーカーなど)では、1つのファイルで作って、面付けソフトで一括出力できます。設備投資や専門知識を必要とするので、予算や必要とする品質などを考慮して使い分けてください。
 版面(字や写真などレイアウトする大きさ・紙の大きさではない)は小さめにします。平綴じ(背がある本)は、紙の大きさはすべて同じですが、中綴じ(週刊誌など背を針でとめたもの)では、一番外側の紙と一番内側にくる紙では大きさが違います。
 面付けは、慣れるまでは印刷会社等にやってもらった方が良いでしょう。また、印刷する機械によって、面付けが変わります。
 平綴じでB4にB5を2面付ける場合(B5をB4で刷る場合)、1頁の隣は4頁、2頁と3頁の組み合わせになります。
 中綴じでは、1Pの隣は最終ページがきます。必ず4の倍数になります。縦組みの場合、奇数ページは左側、横組みでは、右側になります。また、大きな章や節は、奇数ページから始まるようにします。
 出力は写真等がない場合、普通紙出力でダイレクト製版でも十分な場合もあります。これだと安くすみます。写真をキレイに出したいときは、フィルム出力にします。この場合は前出のDTPソフトということになります。カラーの場合、4色分解するので、1頁につき4枚の出力が必要となります。
 小部数の場合にはデジタル印刷機もあります。(この場合もDTPソフトですが)
 デジタル印刷機では、出力料金等が削減できます。ただし、まだ800dpiくらいのようですが、わりとキレイです。A4カラーで19,800円くらいでしょうか。東京中心で地方ではまだ普及してないのですが、宅急便もありますので、経費削減のため挑戦してみてはいかがでしょうか。料金や連絡先は、MAC関係のパソコン雑誌に印刷会社の広告が出ています。

普通紙 カラーコピー 昇華型 ドット数 印画紙 ドット数 フィルム
100〜
  300円
800円〜

2枚目から
カラーコピー代
 200〜300円
3,000円〜 1200dpi  800円〜 2400dpi 2,500円〜
2400dpi 1,200円〜 3600dpi 3,000円〜

 上の表は、ポストスクリプトプリンタ及びセッタによる1枚あたりの出力料金です。
 組代は含まれていません。また、枚数に応じて値段が変わってきます。出力時間がかかる物については、タイムチャージをとられる所もあります。ほとんどがマックのデータからの出力です。少しずつですがウインドウズにも対応してきているようです。
 この料金は、あくまで参考です。出力センターは、マック関係の雑誌などに出ています。(プロがよく読むような割と値段の高い雑誌)
 また、印刷関係では、財団法人経済調査会から積算資料印刷料金という本が年2回発行されています。
 印刷料金については、印刷会社やプリントショップのホームページ等に料金が出ていますので調べてみてください。急ぎの場合は高くなりますので、納期等十分にとれば安くあげることができます。
 通常、B4で通し代(印刷代・セット料込み)は、500枚以下で4円、3,000枚くらいで2円、10,000枚以上で1円くらいでしょうか。
 このほかに、紙代、製本代、取りに来てもらえば営業経費、写真を入れれば製版代がかかります。最近は雑誌の付録等の印刷で海外で刷った物もあるようです。
 現在、うちでは印刷は受けておりませんが、印刷会社やプリントショップは通信も整備されていますので、版下さえつくれればかなり安くできると思います。
 カラーコピーは、データ出力の必要がなければ、コンビニが1枚50円(B4まで)と安いです。普通、カラーコピーの保守料金が1枚とるごとに70円程度とトナーインクが同じくらいかかりますので、これは非常に安いです。


 印刷会社やデザイン事務所では、よくマック(Macintosh)をつかっています。ただし、このマックは一般の家庭に入っているマックとは少し違います。入力用の小マックは同じようなものですが。

 商業用の印刷では、モノクロの場合(新聞やザラ紙などの質の悪い紙を除く)2400ドット、カラーの場合、3600ドットでプリントアウトします。(出力装置はプリンタではなく、イメージセッタという)
 
 印刷物は、点と線の集まりです。新聞の写真を見ると小さな点がいっぱい集まっているのがわかるはずです(新聞の場合、線数が少ないのではっきりとわかる)。写真の再現性(キレイにでるかでないか)は線数と階調数で決まります。
 雑誌等のモノクロページで133線、カラーだと180線以上を使います。
 256階調は、16×16の点(ドット)で表せるので、出力ドット数は16×133=2,128ドット必要な訳です。
 通常、マックについてくるトゥルータイプのフォントで600ドットまでなので、これではいくら良いプリンタでプリントアウトしても同じです。
 そのため、印刷ではPDL(ページ記述言語)で書かれたデータを使います。これが、ポストスクリプトです。(というか標準になっています。)

 そのデータを扱うために、ソフトはADOBE(アドビ)のイラストレーター、フォトショップおよびページメーカー、QUARK(クォーク)のXプレス、Macromedia(マクロメディア)のフリーハンドなどを使います。(この5つしか扱ってくれない出力センターや印刷会社が多い)
 フォントもポストスクリプトフォントを使います。マック側のフォントは低解像度用でいいです。よく使われるモリサワのフォントで49,800円、因みにイメージセッタ側の高解像度用フォントは298,000円。これらのソフトとフォントを20書体揃えると100万は軽く超えてしまいます。(それでも、版下作成用の専用機よりもずっと安い)
 写真等を扱うので、メモリも最低100M以上、データの受け渡し、保存用にMOを使います。色にうるさければ、カラーキャリブレータやビデオカードの変更、40〜50万円クラスの20インチのディスプレーを買い換えます。
 しかし、長い目で見れば、版下や製版を内製化できて、インターネットでもアドビアクロバット(印刷物のような表示ができる)やデザイン作業などに使えるので、将来的には安いものかもしれませんが(^_^; 。
 コンピュータの時間貸しをやっているところもありますので、そういうところを利用する手もあります。